LD学会での学び ①子ども虐待と脳科学

LD学会第27回大会(新潟)

11月23日~25日、新潟市で開催されたLD学会に参加してきました。新潟は思ったほど寒くなく雨も少し降った程度で、最終日はワイナリーにも泊まって、快適で楽しい旅となりました。もちろん、いい学びもいっぱいできましたよ。

 私の中での心に残る№1は、友田明美さん(福井大学子どものこころの発達研究センター教授)の「子ども虐待と脳科学」という教育講演でした。
 新聞やテレビで報道される子ども虐待の数々の事件を見聞きしたり、「虐待は連鎖する」という言葉をひんぱんに耳にしたりするたびに、暗い気分に陥っていました。
 そこで、この友田さんの話は絶対聞きたい、と楽しみにしていたのでした。

 講演が終わった後、一緒に参加していた友だちと「これを聞いただけでも新潟に来た甲斐があったね。」と熱く語り合ったぐらい、友田さんのお話はこれからの未来に≪希望≫が持て≪勇気≫が湧いてくるものでした。

 この時のお話のメモを友田さんの著書を参考にしてまとめてみました。少しでも、みなさんのお役に立てるといいのですが…

『子どもの脳を傷つける親たち』(友田明美・NHK出版新書)
「虐待が脳を変える」(友田明美・藤澤玲子 新曜社〉

1.「マルトリートメント」(maltreatment)という考え方
  =mal(悪い)treatment(扱い)
  =子どもに対する不適切な関わり、養育
 ・「虐待」という概念は1960年代のアメリカで広がっていった。
      ↓
 ・1980年代になると、「チャイルド・マルトリートメント」という表現が広く使われるようになってきた。

 ・「虐待」という言葉は強すぎ。子どもにとって「不適切」な行為であっても、虐待と感じるほどひどいとは思えないために、その行為が見過ごされる。また必死で子育てをしている親を深く傷つけ人格全体を否定してしまいかねない。親が子育てに自信を失うことは、子どもとの関係がますます悪化することにもつながる。

 ・「マルトリートメント」とは、子どものこころと身体の健全な成長・発達を阻む養育全てを含んだ呼称。大人の側に加害の意図があるか否かにかかわらず、また、子どもに目立った傷や精神疾患が見られなくても、行為そのものが不適切であれば、それは「マルトリートメント」

 ・不幸な子どもを減らすためには、親を罰することではなく、親子の関係を改善して、子どものこころや身体を傷つける行為を正していくこと。 

     ☆「虐待」という言葉では偏ったイメージが先行し「自分や家族の問題に当てはまらない」と思われてしまいがち。
        ↓

  友田さんの願い「マルトリートメント」という言葉・概念が日本で広く認知されるようになってほしい!



2.マルトリートメントと「傷つく脳」の関係
   『子どもの脳を傷つける親たち』P72~p107より

①暴言虐待→聴覚野の拡大(影響が顕著:412歳のころ)
  心因性難聴となって情緒不安定、コミュニケーションがうまく図れない
②性的虐待や両親の家庭内暴力目撃→視覚野の萎縮
  IQは低く、視覚野の容積は6.1%低下
③体罰→前頭前野の萎縮(影響が顕著:6~8歳ごろ)
  感情や思考をコントロールし行動を抑制する部分:19.1%減少
  集中力、意思決定、共感に関係する部分:16.9%減少
  痛みを伝える神経回路が細くなっている
④両親間の身体的DVの目撃:視覚野の容積は3.2%減少
 言葉のDV       :聴覚野の容積は19.8%減少
 ※言葉の暴力に接した時の脳へのダメージが大きい!

こういうデータを見ると本当に心が痛みます。でも…
暴言を聞きたくないから聴覚野が萎縮し、暴力を見たくないから視覚野も萎縮、そして
暴力を振るわれているから痛みを感じる神経回路が細くなっている。
つまり、これを友田さんは
傷つく脳、言い換えると環境にうまく適応した素晴らしい脳。ヒトの脳はどんな
  環境でもうまく適応して生き延びる力を持っている。」
とおっしゃっています。

そして、
「子どもの脳は発達途上で、可塑性という柔らかさをもっている。早いうちに手を打てば回復することが我々の研究でわかってきた。」
と、たくさんの事例を紹介して下さいました。

その事例に、どれだけ勇気をもらったことでしょう。
「来てよかったー!」つくづく感じた講演でした。

次回は、このマルトリートメントからの脱却をどうするか、具体的な方法をお伝えしますね。

                                      

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